田舎移住のための物件探しで、私が真っ先に確認する項目が生活用水。つまり、水道から出てくる水の種類です。物件情報サイトでは「設備」という項目に記載されており、大抵は上水道か井戸水になると思います。
今回は、上水道と井戸水はどう違って、それぞれどういったメリットとデメリットがあるのかまとめます。なお、山奥の物件であれば、湧き水を生活用水として使っている古民家もあるようですが、今回は省略します。
水道から出る水の種類は最重要確認事項
田舎移住において、ガスや電気は最悪何とかなります。ガスはプロパンガスを利用すれば場所を選ばない。電気に関しては、最寄りの電柱から1kmほどであれば、無料で電線を引っ張ってくれるそうです。場合によっては毎年お金がもらえるとか…。
関連リンク:電気工事です。 田舎に家があります。 そこには電気を引いています。
下水処理方法に関しても、コストの違いこそありますが合併浄化槽を設置することで、場所の問題は解決しますよね。詳しくは前回の記事を参照。
そうなれば、一番の問題は水道でしょう。「水道水=飲み水」の概念がある日本において、とにかく生活用水の衛生面は重要。物件探しで真っ先に確認しなければいけない項目だと思います。
では、続いて本題の「上水道と井戸水の違い、特徴、メリットとデメリットについて」です。調べた結果を以下にまとめました。
上水道のメリットとデメリット
大抵の人にとっては「水道水=上水道」といった認識のはず。というのも、厚生労働省が発表した上水道普及率は97%以上。最も上水道が普及してない熊本県でさえ87%です。ちなみに千葉県は95%とほとんどが上水道。
関連リンク:水道の基本統計(厚生労働省)
上水道のメリット
上水道のメリットは何て言ったって「安心・安全・安定」でしょう。各地の水道局によって厳重に管理された水が、地下の配水パイプを通って、各自宅に届けられる。
天候や自宅周辺の環境変化による水質汚染の心配もなく、年中、綺麗な飲み水が使用できます。
上水道のデメリット
一方、上水道のデメリットもいくつかあります。
まずは、地震で断水するリスクがあるということ。一時的な断水であればともかく、配水パイプが断裂した場合は長期的に生活用水が使えなくなります。
また、田舎に土地を買って、新築を建てる場合は要注意。新規に上水道を敷地内に引く場合、水道管が通っている道路からの距離で費用が決まります。
そのため、道路から建物予定地までの距離が、数十メートル離れているなら、100万円単位の工事費もありえます。
関連リンク:水道引き込み料金が高くて嫌になります。
あとは、道路の下に配水パイプがあるため、夏場は水が温くなるという点もデメリット。逆に、極寒地であれば水道管が凍ることも有名。
井戸水のメリットとデメリット
上水道と違って、敷地内の地下水を水道水として使用する井戸水。市街地では滅多に井戸水の物件はありませんが、田舎であれば珍しくありません。
田舎の中古物件探しをしている私の感覚では、10件あれば2件ほどは井戸水といった所でしょうか。
井戸水のメリット
井戸水のメリットで最も耳にするのが「水本来の味が楽しめる」という声。本当に綺麗な井戸水は、カルキや塩素による消毒の必要がないため、ミネラルウォーターのような水が水道から出てくるとか。かなり贅沢ですよね。
あとは、井戸水なら水道代が一切かからないということ。タダです。どんだけ使っても無料。掛け流しのプールなんて出来れば最高ですね。
また、水温が一定という点も井戸水のメリット。夏は冷たく、冬は暖かく感じるそうです。
井戸水のデメリット
しかし、井戸水のデメリットは結構あります。
まず、井戸を掘るときにお金がかかるということ。大体、井戸を掘るだけで20〜100万円ほどかかります。
さらに、地下水を汲み上げるための電動ポンプが必要で、わずかながら電気代がかかります。ポンプは定期的なメンテナンスが必要。故障したら修理代や交換費用もかかります。電気を使うということは、停電で断水するということ。ですので、井戸水に発電機は欠かせません。
また、いくら掘っても水量が全く足りないことがあります。
あとは、やっぱり水質ですね。井戸水の水質は周辺環境の影響を受けやすく、土壌汚染、農薬、肥料による環境汚染物質が検出されることも。また、胃ガンや胃潰瘍のリスクを伴うピロリ菌が出てくるケースもあるそうです。
その他、豪雨や洪水の時、さらには近隣に工場が建設された時のリスクも高い。そうでなくても、定期的な水質検査は必須になるでしょう。
兎にも角にも、井戸水に関しては、水量と水質ともに、まずは掘ってみないと何とも言えない点が最大のデメリット。もはや、ギャンブルに近いものがありますね。
関連リンク:井戸水のメリットとデメリットまとめ
井戸水の種類
井戸水にもいくつか種類があり、メリットとデメリットが存在します。その中でも一般的な「浅井戸」と「深井戸」を比較しました。
浅井戸
深さ | 10mほど |
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井戸掘り費用 | 安い(20万円ほど) |
特徴 | 家庭用のほどんどが浅井戸。硬い岩盤の上の地下水を利用するため、工事費用が安いことがメリットです。デメリットは、浅井戸は雨水の影響を受けやすく、周辺環境によって水質が変化しやすいこと。浅井戸は岩盤の上の不圧地下水のため、雨量や周囲の環境に左右されやすく、井戸が枯れたり水質が変わってしまうこともあります。 |
深井戸
深さ | 50mほど |
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井戸掘り費用 | 高い(100万円ほど) |
特徴 | 浅井戸と違って、被圧地下水という硬い岩盤の下の地下水を利用するため、長い時間をかけ濾過された綺麗な水です。水量も安定しており、周囲の環境変化の影響を受けにくいことがメリット。一方で、地層深くの鉄やマンガンといった金属物質が含まれる場合があり、洗濯物が変色したり、家電製品が故障するといったデメリットがあります。そのため、除鉄装置の設置は必須でコストが高い。 |
関連リンク:深井戸と浅井戸のメリット・デメリット
その他にも、山の斜面を横に掘って地下水を汲み出せるようにする「横井戸」や、圧力がかかった地盤で深井戸を掘って地下水が噴出すようにした「自噴井戸」などもあります。
上水道の整備が進んでいなかった当時の技術が、今でも使われているんですね。
個人的には絶対に上水道を選ぶべきだと思う
場所によるかもしれませんが、船橋市内で口にした井戸水は飲めたものじゃありません。とにかくマズかった。もしかしたら、塩素が含まれている上水道に慣れて、舌がおかしくなっているだけかもしれませんが…。
個人的には味より安全重視。飲み水は浄水器やウォーターサーバーで何とかなりそうですし。ガスや電気と違って、水は体内に取り入れる物なので、田舎移住の物件探しでは最も注意すべきポイントでしょう。
ただ、主要な道路から離れてて、近くに小川が流れる山奥であれば井戸水でも良いでしょう。上水道を引くだけのコストも馬鹿になりませんし。太陽光発電と蓄電器があれば、地下水を汲み上げるための電動ポンプも問題なく動かせるので、ランニングコストゼロで飲み水確保も可能。
あとは、結局、上水道もダムや貯水池といった貯水量次第で断水するリスクはありますし、環境に左右されることに違いはありませんからね。
でも、上水道と井戸水のどっちがリスキーなのかをこうして比較してみると、やっぱり井戸水は避けるべきだというのが個人的な結論です。みなさんはどっち派ですか?
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