前回までは、単管パイプで足場を作り、垂木幅に遮熱シートのサーモバリアを貼った段階まで進みました。
そして今回は、天井セルフリノベのメイン。杉板を貼ってオシャレなカフェ風の梁見せ天井に仕上げていきます。
使用する板材選びから、地獄のような作業の様子をお伝えします。
木造軸組工法の屋根天井の仕組み
セルフリノベしているキッチンは増築された部屋で木造軸組工法となっています。
木造軸組工法の屋根天井の仕組みは、
- 棟木(むなぎ)
- 母屋(もや)
- 軒桁(のきげた)
- 梁(はり)
- 小屋束(こやづか)
- 小屋梁(こやはり)
- 垂木(たるき)
で構成されています。
今回は、憧れの梁見せ天井にしたいので垂木を除く、棟木、母屋、軒桁、梁、小屋束、小屋梁は露出に。
露出箇所にはネオステインを塗って、木部の色の調整を行いました。
記事の途中で恐縮ですが、気になる方はこちらの記事もご覧ください。
天井は全面板張りにしたい
梁見せ天井でよく使われる天井材は石膏ボード。
梁を避けるように石膏ボードを天井一面に貼って、その上からクロスを貼るなり、漆喰を塗るなりするのが今の主流。
でも、自分がイメージしている梁見せ天井は違う。無垢板を天井全面に貼りたい。
なので、まずは「どういった板を貼るか?」が課題になりました。
野地板は安いけど内装に使う場合はやや手間
まず思い浮かんだのが野地板。アンティーク風の内装でよく使われていますよね。
本来の野地板の用途は屋根下地板ですが、ホームセンターで売られている板材の中でも極めて格安という理由からか、DIYではおなじみの木材です。
セルフリノベは安くしてナンボ!という方針なので、野地板を天井に貼ることも考えました。
ただ、野地板はプレーナー加工(表面磨き)がされておらず、天井材としてはちょっと見てくれが悪い。
かと言って、一枚一枚自分でサンダーをかけるのも手間。価格は魅力的ですが、納得できる仕上がりにはならなそうなので却下しました。
天井材は羽目板の杉相じゃくり板を使う
一般的に、腰壁や天井に無垢板を貼る場合は羽目板というものを使うらしいです。
羽目板とは、板の側面に凸凹の溝を掘り、隙間なく連続して貼ることができるように加工された板材のこと。
材料となる木の種類もスギ、パイン、ヒノキなど様々で、節あり・節なしでランク分けされています。
ただ、ハウスメーカーなどで使っているキレイな羽目板は、値段が高くて節約セルフリノベには不向き。
例えば、ヒノキ・無節の良い羽目板だと、坪単価2万円(平米単価6000円)もします。10畳勾配天井だといくらになることやら…。
もっと安い羽目板はないものか…と探していたところ、材木店で杉相じゃくり板というものを紹介されました。
杉相じゃくり板は、内装から外装まで幅広い用途で使われている板材で、とにかく安いことがメリット。
杉相じゃくり板の節あり最低ランクだと、坪単価5000円(平米単価1500円)と格安。
野地板と違って表面はプレーナー加工されてツルツル。羽目板なので側面同士は重なって、仕上がりもキレイ。
とりあえずコスパが良さそうなので、杉相じゃくり板を使うことにしました。
無垢板は呼吸している
ちょっと余談ですが、届いた杉相じゃくり板を床に置いていたら、その下の床が濡れていました。
最初は雨漏りを疑いましたが、どうやら杉板が放出した湿気で濡れていたみたいです。
たしか材木店の人が「切って加工したばかりだから2〜3日乾燥させてね」って言ってたな。
無垢板は呼吸するらしいけど、これほどまで湿気を吸ったり吐いたりするとは…。
無垢板を保存するときは、地面ベタ起き禁止ですね。風通しのいい場所で保管です。
天井板は垂木幅に合わせてウマ貼りに
杉相じゃくり板は、交互になるようにウマ貼りで貼っていきます。
杉相じゃくり板は垂木に固定するので、垂木に掛かるようにサイズ調整しなければいけません。
垂木幅は455mmなので、3700mmで届いた杉相じゃくり板を、910mmと1820mmにカットしました。
カット後は、なんとなくサンダーで磨きました。ですが、別に塗装するわけでもないし、十分ツヤツヤだったので途中から磨くのを止めました。
天井板張りDIYは重力に逆らう地獄の作業
杉相じゃくり板の固定ですが、スリムビス(35mm)をインパクトドライバーで打ち込むことにしました。
今思えば、この判断が地獄の始まりでした。
重力に逆らって、左手で杉板を押さえながら、右手でインパクトドライバーを打ち込むこの動作、かなりキツイです!一人作業なので、必然的に頭も使わないとビスが打ち込めなかった!
また、凸凹加工された杉相じゃくり板を上手く重ねたいのに、無垢板の性質上、どうしても歪んでいて綺麗に収まらなかったりとイライラ…。
そして極め付けは、地上2.5mの足場の上という恐怖の追加ダメージ。
板を抑える腕はプルプル、板の位置を調整したい脳は沸騰、高所作業で精神はボロボロ。
季節は3月というのに汗が止まらないし、作業後は疲労困ぱい。これが2週間も続いた。
ここまでいろいろなDIYを経験してきたけど、間違いなく天井の板貼りが一番辛いです。
もし、インパクトドライバーではなく、ネイルガン(釘打機)があれば、間違いなく楽だっただろうに…。
天井に杉相じゃくり板を張るなんて2度としたくないです!
最後の一枚の中途半端な隙間を埋める
杉相じゃくり板を貼っていくと、どうしても最後の一枚は中途半端なサイズになってしまいました。
フローリングと同じですね。一番最初の板を貼る前に、最後の一枚の幅を計算しておく。そうすることで、キレイに収まる。
そんなこと言っても後の祭り。杉相じゃくり板を縦にカットして、何となくはめ込みました。
カットした板を押し込んでは、カンナで削って、また押し込んで…、素人なりに地道に奮闘してみました。
母屋が完璧な直線じゃないので、どうしても隙間はできてしまいますね。
まぁ、多少の隙間はできても、下から見たときに分からなければいいかな。というか、マジマジと天井板を見る奴なんていないだろ!という感じ。
素人DIYは見切りも大事!はい、終わり!
意外にもキレイな梁見せ天井に仕上がった
完成した天井を見上げた瞬間…思わず感動!
これが、こう!
一枚一枚、自分で貼った杉相じゃくり板はかなり良い感じでした。
近くで見た時はまぁまぁな隙間ができてしまったけど、こうして下から見上げると全然気にならない!
むしろ、不揃いな杉無垢板が、基礎的に張り巡らされている光景は芸術(アート)にも思えてきた(過大評価)
地獄のような苦労が報われた。いや〜、板張りにして本当に良かった。
さて次回からは壁を作っていきます。下地を作ったり、石膏ボードを切ったりと初めてのことばかり。お楽しみに。
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