中古物件のセルフリノベーションでまず取りかかった場所が、築40年ほどの増築エリア。キッチン(10畳)と和室(8畳)を隔てる壁を解体しました。解体する壁はキッチン面が漆喰、和室面が砂壁です。
壊した壁はどういった構造だったのか?どういった手順で壊したか?など、実際に解体した感想をまとめます。
和室の壁の構造
今回解体する築40年の増築は木造軸組構法(在来工法)でした。木の角材や板材で組まれた壁下地があり、その上にラスボード(石膏ボード)とよばれる下地材、モルタル、漆喰や砂壁といった壁材が塗り重ねられています。
また、外壁と接する壁は壁下地にトタンが打ち込まれているだけ。この築年数だと、スタイロフォームやグラスウールといった断熱材は一切入ってません。正にトタン小屋と同じ状態ですね。
ハンマーで壁を軽く叩いてみると、簡単に壁材が剥がれます。普段目にする和室の壁は、こんなモロい素材で出来ていたのかとビックリするほど。さらにチカラいっぱいハンマーで叩くと、簡単にラスボードまで穴が開きます。
ん?この光景、どこかで見たことあるなぁ…
完全に一致(笑)まぁ、穴の向こうには誰もいないんですけどね…(寂)
壁下地の位置を知る方法
一般的な木造軸組構法(在来工法)では、ラスボードが張りやすいように一定間隔で壁下地が入れられているそうです。
壁下地の位置を把握することで、残したい貫や筋交いに傷が付きにくくなります。
ただ、必ずしも一定の間隔で壁下地が入っているとは限らないので、壁をコンコンと叩いて音の反響で壁下地の位置を探るといいでしょう。下地材の正確な位置を知りたいなら、下地センサーという便利グッズもありますよ。
漆喰や砂壁だけを綺麗に剥がす方法
ラスボードは現代建築でも使われている壁材。ですので、状態が良ければ解体せずにそのまま利用しても良いでしょう。一応、素材は石膏なので耐火性はあります。
表面の砂壁や漆喰だけ剥がして、下地のラスボードはそのまま活用する場合は、壁の表面をハンマーで軽く叩くと簡単に剥がれます。力を入れるとラスボードまで穴が空いてしまうので、コンコンコンと優しく叩きましょう。
もっと綺麗に、かつ絶対に穴を開けたくない場合は、平タガネを使って彫刻を削るよう、ラスボードの表面を滑らせれば、漆喰、砂壁、モルタルが綺麗に剥がすことができますよ。
ラスボード(石膏ボード)も解体して捨てるのであれば産業廃棄物扱いになります。なので、漆喰や砂壁、モルタルとは分別しておくと後あと楽ですよ。
ちなみに私は、剥がした漆喰、砂壁、モルタルを土間下地として再利用する予定です。詳細は後日、別記事でご紹介しますね。
ラスボード(石膏ボード)の解体
ラスボードの表面は紙質で、モルタルや壁材が張り付きやすいように穴が空いています。材質自体は紙なので、ダンボールをちぎる感覚で解体できます。
ラスボードは貫や筋交いといった下地材に釘で固定されています。手でちぎっても良いですが、裏からハンマーで叩くと簡単に釘が抜けます。
大抵の場合、ラスボードを固定している釘は壁下地を優先し、ラスボードから引きちぎれますが、稀にラスボードと一緒に剥がれて、直立しているケースがあります。自分はこの直立した釘を踏みました。
厚底の安全靴の溝を見事に避けて、右足の親指に7mmほど食い込みました。
しかも、ラスボードを固定する小さな釘は、釘集めに便利なハンドマグネットにくっ付きません。磁性がないオーステナイト系のステンレス釘らしいです。
剥がしたラスボードは一ヶ所に集めて、絶対に踏まないよう注意しましょう。
壁下地の解体(貫と筋交い)
貫を抜く時は慎重に
貫(ぬき)とは、柱と柱を繋げて地震の横揺れに対する耐震性をアップさせる材木のこと。特に、数本の柱をまたぐ「通し貫」は極力抜かない方が良いらしいです。
築40年の増築にも柱2本以上が貫通している貫がありましたが、通し貫なのか下地材を兼ねた貫なのか不明。
ただ、ペラペラであってもなくても同じような感じがして、念のため近所の大工さんに相談したところ、抜いても良いと言われたためバッサリ切断しました。
筋交いは抜いたらダメ
筋交い(筋違)とは、柱と柱の間を「/」のように斜めに入れられた材木のことで、絶対に撤去してはいけないと言われる耐震補強材です。ちなみに「X」の筋交いはさらに強い耐震補強になります。
解体した壁にも、ペラペラの板材がゆる~く筋交いとして入っていました。本当に効いているのか心配なほどバインバイン。厚さは20mmほどで、金具ではなく釘固定。
大工さん曰く「取らない方が良いけど、取るなら片方残して『X』にする、もしくは構造用合板にする」とのこと。
悩んだ結果「見せる筋交い」として、何とかオシャレできないかと検討中。現状の筋交いは弱すぎるので、後日、厚さ30mm以上の板材でも買ってきて筋交いを新しくします。
鴨居と長押
和室の壁には鴨居(かもい)や長押(なげし)とよばれる部位があります。鴨居は建具のレールが彫られている板材のことで、長押はハンガーなどが引っ掛けられるようにした板材のこと。和室でよく目にするやつです。
後付けで壁に取り付けられただけの「付け鴨居」と「付け長押」というものもあります。
この長押と鴨居の構造は少々ややこしく、長押は鴨居に釘で打ち付けられており、鴨居は太い釘で柱に打ち付けられています。
鴨居を綺麗に取るには長押を取らなければならず、長押を取るには細い溝に打ち込まれた釘を抜かなければいけない。細い溝にはバールが入らないし、狭いし暗いしで全く隙間が見えない。つまり、素人が綺麗に解体するのは困難ということ!
長押と鴨居は耐震構造に全く関係ないので、不要ならノコギリで切断するのが得策です。突破口を開いてからバールで強引にもぎ取りましょう。
差し鴨居は基本的に抜けない
ちなみに、古民家でよく見られる太い鴨居は「差し鴨居」と呼ばれ、家屋を支える梁のような役割を持ちます。つまり、安易に抜けないということ。どうしても抜きたいという場合は、一度、大工さんに相談してみましょう。
その他の壁解体時のポイント
コンセント穴は養生でカバーする
解体中の電気系統は火災の原因。ブレーカーを落としてあっても、コンセントの穴は木屑や砂埃が入らないように養生テープでカバーしておきましょう。
サッシのガラスを保護する
解体する時は窓サッシを外しておくといいでしょう。サッシを外すことができない場合は、不要な襖や段ボールなどで、ガラス面を保護するといいでしょう。
ガラ集めも頭に入れておこう
壁の解体は一面だけでも想像を上回る大量のガラ(がれき)が出ます。6畳部屋でガラ袋10個超。1袋10kgなら100kgほどでしょうか。ラスボードを捨てるなら、軽トラ1台分は余裕で超えると思います。
床に落ちたガラを集めやすくするためにも、解体する壁に沿ってブルーシートを敷いておくと良いでしょう。
ガラ集めには角スコップやてみが便利。細かいガラは竹ぼうき。サッシなどの隙間に入ったガラはブロワーで綺麗になります。
壁解体はセルフリノベの第一歩
壁の解体自体はストレス解消にもなって意外と楽しい。ただ、ガラを片付ける時は、砂埃は舞うし、重いし、ガラ袋は入れづらいしで、かなりテンションが下がります(笑)
あとは、釘踏みですね。本当に注意してください。むちゃくちゃ痛いです。釘が錆びていると破傷風の危険性もあるそうです。安全第一。
壁の解体はセルフリノベの第一歩。普段見ることができない家の骨組みを楽しみながらやりましょう!
※管理人はDIY素人につき全てが手探り状態です!「これは間違っている」「ここはこうした方が良い」という箇所があればコメントからご指摘お願いします!
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