我が家の増築部分は古い在来工法(木造軸組構法)となっており、キッチンと和室がありました。
そこを開放的なキッチン&土間にするため、2部屋を区切っていた壁を取っ払ったのが現状。
壁の中から姿を見せたのが「筋交い」と呼ばれる斜めに組み込まれた木材。
初めて筋交いを見たときは「なんだこの邪魔な木は」と思って、柱と一緒に取っ払って…と行きたいところだった。
念のため近所の大工さんに相談したところ、「ここの筋交いは耐震強度で絶対に必要」とのこと。
ぐぬぬ…仕方ない、ということで邪魔な筋交いは存続させることに。
それにしても頼りない筋交い。使っている木材は薄いし、ちょっと力を入れれば簡単にたわむほど。固定も釘が数本打ってあるだけ。
この筋交い、必要ならばもっと分厚くて丈夫な木材に交換しよう!ということで、筋交いをDIYで交換することにしました。
筋交いの壁倍率について
素人が筋交いをDIYする前に知っておくべきことが壁倍率について。
壁倍率とは、建築基準法で定められている耐力壁の強度をあらわす数値のこと。
筋交いに関しては「片筋交い」か「たすき掛け」、そして「30×90筋交い」か「45×90筋交い」でその数値が異なります。
30×90筋交い | 45×90筋交い | |
---|---|---|
片筋交い | 1.5倍 | 2倍 |
たすき掛け | 3倍 | 4倍 |
片筋交い
片筋交いとは、1本の木材を斜めに設置すること。
たすき掛け
たすき掛けは、2本の木材をクロスさせるように設置すること。片筋交いの倍の壁倍率になる。
30×90筋交い
30×90筋交いとは、筋交いに30mm×90mmの木材を使用すること。
45×90筋交い
45×90筋交いとは、筋交いに45mm×90mmの木材を使用すること。30×90筋交いよりも強度がある。
筋交いに使う木材はホームセンターで購入
現状で差し込まれている筋交いは20mm×90mmと、建築基準法では壁倍率に該当しない筋交い。
もしかすると、ここは仕切り壁だから耐震強度に無関係なのかもしれない…。
どちらにしろ今の筋交いは薄いし、釘打ちによる割れも見られるので新しくします。
筋交いに使う木材は45mm×90mmの筋かい(壁倍率2倍)を採用。せっかくなんで2倍筋交いにします。
筋交い用の杉材(45mm×90mm×3000mm)は近くのホームセンターに置いてありました。
もし、筋交い用の杉材が手に入らなければ、2×4材でも良いかと思います。
2×4材は38mm×90mm。30mm×90mmの1.5倍筋交いには、幅1mm足りないので建築基準法には当てはまりませんが、DIYなら問題なしでしょう。厚みも38mmと十分です。
どうしても建築基準法を!というなら、2×6(38mm×140mm)や大引き(90mm×90mm)でもOK。30mm×90mmを超えれば建築基準法クリアです。
筋交い金物はネットで購入
昔の筋交いは釘で固定されていましたが、今は「筋交い金物(金具)」を使うのが一般的。
筋交い金物には「1.5倍用(30mm×90mm)」と「2倍用(45mm×90mm)」があります。
さらには「プレートタイプ」「2面固定」「3面固定」など形状の種類も様々。
どの形状にするか迷いましたが、2面固定より3面固定の方が強そう(小並感)
ということで、タナカの2倍筋かい(トライ)をネットで購入しました。
使用するビスは頭の溝が四角いスクエアコーススレッド。インパクトでの打ち込みには、角ビット3番が必要です。
筋交い金物1枚につき15本が付属されていました。
古い筋交いをDIYで交換してみる
筋交いをDIYで交換する!と意気込んでおりますが、なにも難しいことはしていません。
簡単流れを説明すると、
- 既存の筋交いを抜く
- 新しい筋交いに重ねて型取りしてカット
- 微調整しながらはめ込み
- 筋交い金物で固定
これだけ。たくさん撮った写真を使いたいので、順番に解説していきます。
1. 既存の筋交いを抜く
まずは、既存の筋交いの撤去から。
ハンマーで釘打ち部分を叩けば簡単に取れました。
せっかくなんで、土台には防腐剤を塗っておきました。
2. 新しい筋交いに重ねて型取り
古い筋交いと、新しい筋交いを並べてみました。
こうしてみると厚みが全然違いますね。
筋交いで一番難しそうな両端の角度ですが、ここは抜き取った筋交いと同じで良いので、買ってきた筋交い用の杉材(45mm×90mm×3000mm)の上に古い筋交いを重ねて、鉛筆で型取り。
あとはカットすればOK。
ゼロから筋交いを作成する場合の両端の角度決めですが、こちらのブログで分かりやすく解説されています。
参照:筋交いの入れ方 ~ 実際の加工方法や取付け方、端部の角度切りの方法など
3. 微調整しながらはめ込み
カットした筋交いをはめ込もうとしたんですが、型取りが甘かったのかキツキツでした。ハンマーで叩いてやっとはまったという感じ。
あまりキツキツだと、湿気で筋交いが膨張した時に柱や梁をミリ単位で浮かせてしまうこともあるとか。
なので、微妙に遊びを作っておきます。
4. 筋交い金物で固定
木材の加工が終わったら、筋交い金物で固定していきます。
固定する際は、筋交いが垂直になっているか確認しました。
スクエアコーススレッドは太いので、ドリルで下穴も開けました。
ビスは打てるだけ打っておきました。
こんなに打つ必要はあるのでしょうか?
横から見るとこんな感じ。
上部の金物はクランプで挟みながら固定しました。
これで完成です。
1人で作業して1本30〜40分程度。簡単でした。
もう一箇所、反対側の筋交いも新しく交換。これで安心です。
片筋交いの向きに注意
今回は、既存の筋交いを差し替えただけなので全く気にしませんでしたが、片筋交いには正しい向きがあるらしいです。
筋交いは、地震や台風といった横揺れに対する耐震補強。
なので、筋交いを設置するときは、水平方向の力が加わった際、その力はどう伝わるかをちゃんと考えて、向きを決めなければいけないらしい。
そのため、片筋交いの向きを間違えると全くの無意味になるとか。
参照元:不良在来木造構造現場の例。筋交いの向き無茶苦茶。上階に柱と筋交いがつき下階に柱がない場所の梁が細い: 慎腹風呂愚
建築って頭良くないと無理なんだって、つくづく思います…。
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