それは突然でした。
深夜2時頃。コタロウがよろめきながら歩き出した。まっすぐ立てない状態で、転んでは立ち上がりの繰り返し。
5mほど進んだところで座り込んでしまい、そのままオシッコをしてしまった。畳に水たまりが出来るほどの量でした。
歩き続けようとするコタロウを抑え込み、濡れた身体をタオルで拭きあげる。そして畳を拭いているとまたよろめきながら歩き出し、次はウンコをした。
四肢に力が入っていない?足がしびれた?ひょっとしたら癲癇(てんかん)かもしれない。この日の夜は歩き回らないよう、サークルに入れて見守りました。
前庭疾患の症状と完全に一致
次の日。コタロウは相変わらずふらつく様子で、首が左に傾いた状態が続いていました。癲癇(てんかん)ならすぐに治るはず。これは別の病気と思い始めたのが昼過ぎのこと。
インターネットで調べて「前庭疾患(ぜんていしっかん)」という症状を知りました。今のコタロウのすべての症状と一致しています。
前庭疾患(みんなのどうぶつ病気大百科)
犬の突発性前庭疾患(さとう動物病院)
左に首が傾く斜頸(しゃけい)、平衡感覚が失われるのでまっすぐ歩くことが困難な運動失調、眼振は確認してませんがフラついている様子から視界はグルグルと回っていたと思われます。
前庭疾患と思われる症状が起きた翌日、全くご飯を食べてくれませんでした。いつも足りないと言わんばかりに食べていたのに。
また、1日500mlは飲んでいた水も100mlほどしか飲まない。嘔吐はないものの明らかな食欲不振でした。
コタロウ自身は視界が回っている状態。例えるなら遊園地のコーヒーカップに乗った直後。そりゃ食べたくないし飲みたくもないよね。
飼い主の私自身も「良性発作性頭位めまい症」の経験があるので、その辛さは痛いほど分かりました。立てない、吐き気、頭痛。目を開けてられないし、目を閉じていても目が回る。
コタロウはそんな状態なのでしょう。
脳障害の疑いありで前庭疾患の予兆はあったかも
コタロウはオスの柴犬。2年前に我が家来た、推定12歳の高齢犬。推定というのは、動物愛護センターから保護したため正確な年齢が分からないのです。
元々、難聴ぎみで声かけや音に対する反応は薄く、随分と落ち着いた犬でした。
外耳炎や内耳炎のような症状もたまに起き、その度に動物病院へ行っては脳に障害があるかもしれないと言われました。
精密検査をするには、遠く離れた都会へ行く必要があります。仮に脳障害があっても、高齢のコタロウに手術は負担。私生活自体は問題ないので、このままゆっくりと歳を重ねていければと夫婦で決めました。
我が家に来て1年、推定11歳ほどで足腰が悪くなり始め、散歩ではよくつまずいたり、スキップしたりと、正常な歩行ができなくなりました。
脱臼か捻挫を疑い動物病院でレントゲンを撮るも、骨や関節に異常はなし。あぁ、やっぱり脳に障害があるんだなと。
他にも、寝起きでフラフラと歩く、ボーッと一点を見つめる、何もいない方を向いて吠えるなど、認知症にも似た症状。今思えば前庭疾患の予兆だったのかもしれません。
動物病院で前庭疾患と診断され薬の処方
前庭疾患の疑いがあると分かってすぐに、かかりつけの動物病院に電話。しかし、予約が埋まっており、病院で空きを待つ形になるとのこと。今のコタロウにそれはあまりにも酷だ。
翌日の朝一、別の動物病院に電話。すると今すぐなら診てもらえるとのこと。良かった!
車中、ふらつくコタロウを守るため、たまたまあった大きめのダンボールを使いました。犬用のクレートは必要ですね。
カーブは超ゆっくり、慎重な運転を心がけ、コタロウと動物病院へ向かいました。
片道30分かけて動物病院に到着。まともに歩けないコタロウを抱きかかえ、診察室へ。「前庭疾患だと思います」とは言いません。素人は黙っとけですからね。
予想は的中。前庭疾患でした。
血液検査も行なって、待つこと20分。意外にも数値は正常。年齢の割にはと先生も驚いていました。
ただ、アレルギー性疾患を表す「好酸球数(EOS)」が正常値の5倍ほど。
アレルギー性の反応は皮膚炎かと思われます。以前、かかりつけの動物病院でカビによる皮膚炎と診断されました。腰あたりの毛が抜け落ち、皮膚表面が黒くなり、フケのようにはがれ落ちていました。
現在は、抜け毛もなく、良くなったと思っていたけど、血液検査にハッキリと出ちゃってます…。前庭疾患が良くなったら、また治療しよう…。
ともあれ、錠剤3種(詳しい説明はなかった…)、注射器で口に入れる液剤(これも何かわからない…)、そして耳の炎症も疑われたので点耳薬が処方されました。
とりあえず1週間。その後、経過を見て薬の量を減らしていくとのこと。
気になる治療費の合計、なんと2万2750円!高っか!コタロウ治療費の記録更新!
血液検査もしたし、薬の量も過去最多だもんね。コタロウの健康にかえられない。プライスレス。と同時に、ペット保険って大事なのかも…と思った瞬間でした。
老犬コタロウの介護が始まった
前庭疾患を発症してすぐに診察させてやれなかったことに後悔。ともあれ、薬はもらったのでどこか安心しました。
前庭疾患は数週間から数ヶ月で、徐々に改善されているとのことです。多少のフラつきや斜頸は残るかもしれませんが、それでも歩けるようにはなる。そう聞きました。
1日2日で良くなることはなく、しばらくはフラつくコタロウを介護することになるでしょう。老犬介護の始まりです。介護自体は全然苦ではありません。ただ、辛そうなコタロウを見ているのがかなり辛い…。
数日前まで散歩していたのに…散歩前でテンションが上がって飛び跳ねていたのに…散歩の後はガツガツとご飯を食べていたのに…
今は別の犬みたいにグッタリ。左に傾いた首を右手で支えながら、思わず涙してしまいました。もっとああすれば良かった…
あぁ〜ダメですね。悲しい顔してたらコタロウも不安になっちゃうよね。笑顔で介護。コタロウ、得意のマイペースでゆっくり良くなろうね!
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